Somewhere in the world 〜不真面目社畜の徒然日記〜

ビジネスと旅行と、時々宗教

北陸一人旅 加賀・山中温泉

石川県は加賀市に来ています。金曜日有給とって、二泊三日の一人小旅行です。

ここ最近、僕は自分を取り囲む環境にほとほと疲れきっていた。仕事は楽しいけど、このままでいいんだろうかと漠然とした不安に取り憑かれ、将来やりたいことがあったはずなのにいつの間にか見失ってしまっていた。ここはすべて忘れてリセットしよう!と思い立ち、今に至る。そういえば合コンで「趣味は旅行です」と言ってるわりには旅行してなかったな。金曜中にやらないといけない手続きがあったような・・・安心してください、会社のPCも携帯もすべて東京に置いてきました!(誰に言ってるんだ)

加賀温泉を選んだのは、東京から近すぎず遠すぎないほどよい距離感だったから。未体験だった北陸新幹線にも乗ってみたかった。

 

平日の金曜日の朝、職場に向かうサラリーマンの人ごみをかき分けて僕は北陸新幹線の「かがやき」に飛び乗った。東海道新幹線に比べると一つの車両がすごく短くて、席は10列しかなかった。前の席との間隔は比較的余裕があった。

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僕は三列シートの通路側に座っていたが、隣には中国系アメリカ人のお父さんと5歳くらいの女の子、前にはそのお母さんと7歳くらいの男の子が座っていた。女の子は窓を見ながら「パパ、もうマウントフジは通りすぎたのかなぁ?」としきりに聞いていた。お父さんはお仕事っぽいPCをひろげてエクセルファイルとにらめっこしていた。お嬢ちゃん、北陸新幹線ではマウントフジは見れないよ。

 

さすが最新鋭だけあって「かがやき」の乗り心地は快適で、気づけば眠りふけっていた。金沢までの二時間半はあっという間にすぎていった。中国系アメリカ人の家族は長野で降りていった。

 

金沢駅北陸新幹線のプラットフォームはまだ出来たてを残していた。支柱には金色のオブジェクトが取り付けられ、加賀百万石を意識していることが垣間みれた。

 

僕は北陸本線に乗り換え、加賀温泉駅を目指した。特急に乗る手もあったけど、急いでるわけではないのであえて鈍行に乗った。金沢駅始発の時は立つ人も出るほど意外に混んでいたが、小松をすぎたあたりでだいぶすいた。金沢からちょうど一時間で加賀温泉駅に到着した。

駅の規模は小さくて、自動改札機も無く、切符を駅員さんに渡して改札を出た。

駅前のバスターミナルにはすでに旅館の送迎バスが来ていた。僕以外には元気なおばはん軍団が乗り込んでいた。この人たち、旦那が汗水かいて稼いだ金で温泉につかるのか・・・としみじみ思ってしまった。

 

加賀温泉駅周辺には片山津、粟津、山代、山中の4つの温泉がある。僕は駅から一番遠い山中温泉を選んだ。秘境っぽくていいかな、という単純な理由だ。

加賀温泉駅から車で20分ほど、山々の間を流れる渓流に寄り添うように旅館が立ち並ぶ。

緑が散った冬の渓谷は物寂しい景色ながら、東京から離れて心を鎮めるにはちょうど良かった。

 山中温泉の歴史は古く、奈良時代にとある僧侶さんが見つけたことに由来する。あの松尾芭蕉も称賛した名湯だそうだ。 街の中心に位置する「菊の湯」は1300年以来ずっと同じ場所にある温泉だ。日本は幕府三回変わって、明治維新が起こって、太平洋戦争で負けて、70年も経つ間にずっと同じ湯を供給しているなんて自然は驚異である。自然からすると、一瞬なんだろうけど。

旅館でチェックインをすますと、早速散歩に出かけた。

街の西側にあるこおろぎ橋を渡り、鶴仙渓遊歩道を歩いてみた。

 

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 山中温泉の地図。 

 

 

こちらが山中温泉観光協会の公式サイト。地方の小規模都市にしては(失礼)デザインに気合いが入っている。

www.yamanaka-spa.or.jp

 

 https://www.yamanaka-spa.or.jp/highlights/walk/walk1

 

 川の流れとともにに遊歩道を下っていった。

せせらぎの音がすっと耳に入り、心を鎮めていく。

 川だけど、生き物は海からやってきたんだなと何か納得した。原始的な意味での帰る場所というべきか。

 

 

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こおろぎ橋

 

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 鶴仙渓遊歩道の小径

 

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 渓流

 

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よくわからない石

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S字カーブを描く橋、あやとり橋

S字の機能的な意味は、多分無い。

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橋の中はこんな感じ

 

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木漏れ日と階段 

 

 

 

そんなこんなで小一時間で遊歩道を歩き終えた。

川の一番東にかかる黒谷橋を渡り、街の中心地に戻ることにした。

途中、1300年の歴史を誇る「菊の湯」を通りかかったので、せっかくならひとっぷろ浴びるか!と思い立ち入ることにした。

泉質は「カルシウム・ナトリウム一硫酸塩泉、48.3度」(山中観光協会サイトより)

湯は透き通っていて、特段変わったにおいもしなかった。

草津の強酸性の温泉は肌の弱い僕にはヒリヒリしたし、登別温泉は乳白濁で強烈な硫黄のにおいがしたり、温泉は各地でかなり特徴を持っているイメージがあったけど、山中温泉はすごく「中立的」な温泉だった。

ほっかほかのまま、街の中心部のゆげ街道を巡った。 

 この街道にある、肉屋のいずみやで食べたメンチカツコロッケが絶品だった。芸能人のサインやなぜか政治家の麻生太郎の写真が掲げられていて、この辺りでは有名みたいだ。

温泉とコロッケ。ありそうでなかった組み合わせ。

http://s.tabelog.com/ishikawa/A1702/A170201/17004260/

 日も暮れて寒くなったので旅館に戻った。

晩御飯に会席料理をいただいた。僕以外にはサークル合宿らしき大学生、バスで一緒になったオバハン軍団、僕みたいにひとりで来てる客(安心した)が食堂にいた。

加賀の地酒、菊姫純米大吟醸はすごく美味しかった。色は透き通っていてクセもなく舌にすっとなじむ。まさに山中温泉の湯の特徴を体現した日本酒だった。

 

http://www.kikuhime.co.jp/product/gin04.html

 

そのままほろ酔いでバタンキュー。

 

翌朝目が覚めて窓に目を向けると、雨が降っていた。

窓のすぐ外には昨日僕が歩いた遊歩道と渓流が流れている。

雨の音はせせらぎに吸い込まれ、

渓流の景色にとけ込んでいた。

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旅館の屋根にはじける雨粒

 

そんなこんなで山中温泉を後にし、金沢に向かった。

いいとこです、山中温泉