「何したらいいですか?」と「○○しましょうか?」では天と地ほどの差がある。
社会人になりたての頃、僕は自分から上司に指示をもらいに行っていた。
というのも、僕の世代はいわゆる「ゆとり世代」の先駆けで、
「ゆとりは指示待ちばっかり」とか「ゆとり使えなさすぎワロスwww」とか揶揄されていた。
参考:常に指示待ち、やる気がない、打たれ弱い…ゆとり世代使えなさすぎワロタ
http://www.newsch.info/archives/19194096.html
だから僕は、「指示待ち」と言われないように自分から動くことを心がけていた。「何したらいいですか?「次はどうしましょうか?」と、指示が来る前に指示を仰ぎに行っていた。
その結果、上司から指示待ちと言われることは無かった。でも代わりに、「お前は自分のアタマで考えろ!」とよく叱られた。こちらとしては、自分から考えて主体的に動いているつもりなのに、自分のアタマで考えろってどうしろっつうねんと突っ込んでいた。
そんな悶々が続いていたが、ある日先輩からこんな助言をされた。
「良い質問っていうのは、仮説+クローズドクエスチョンだよ」
思わず膝を打った。僕が自分のアタマで考えれていなかったのはこれだった。
すなわち、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いである。
オープンクエスチョンは相手に制約をもうけずに自由に答えてもらう質問で、
一方クローズドクエスチョンは「はい/いいえ」や「A/B」みたいな二択で答える質問だ。
分かりやすく、鍋パーティで例える。
友人A宅に、僕と友人B、友人Cで鍋をすることになった。
一通り買い出しを終えて友人A宅に着く。
僕がトイレをお借りしている間に、友人Bは豚肉を切っていて、
家主の友人Aと友人Cは居間で談笑している。
さて、ここでどうするか?
「何したらいい?」と聞くのは、オープンクエスチョン。
「野菜でも洗おうか?」は、クローズドクエスチョン。
前者は主体的に見えて実は何も考えていない。
しかし後者は違う。
「野菜でも洗おうか?」と聞く前に、
①目的認識
腹減ったし早く効率的に鍋を作りたい。(そしてこれは四人の共通認識である)
②状況認識
友人Bが豚肉を切っているが、見たところまな板と包丁は彼が使っている1セットしかなく、同時並行で切ることはできない。
③役割認識
鍋やガスコンロをセットすることもできるが、それは家主の友人Aが勝手を知ってるし、ここは任せた方が良さそう。この状況下で同時にできるのは野菜洗いだから、まず僕はそれをやろうか
・・・・で、
「野菜でも洗おうか?」
となる。
オープンクエスチョンの「何したらいい?」と比べて、「野菜でも洗おうか?」のクローズドクエスチョンには、上記の三つの自分のアタマで考える段階が介在する。
そして、「野菜洗いがこの状況下で鍋作りプロジェクトに自分が最も貢献できるのでは?」という「〜では?」の部分が、まさにビジネスパーソン必須のスキルと言われて久しい仮説思考だ。
仮説は当然自分のアタマで考えないと出てこない。仮説をぶつけるのは必然的にクローズドクエスチョンになる。
新入社員の時に犬のように「何したらいいですか?」と聞き回っていた僕は、自分のアタマで考えていなかったのだ。
「何したらいいですか?」と「○○しましょうか?」
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン
ほんのわずかな差に見えて、心がけるだけで自分のアタマで考えるスキルにめちゃくちゃ差がつく。
老婆心ながらだけど、新入社員やこれから社会人になる学生さんは、僕の二の舞にならないためにも仮説+クローズドクエスチョンを心がけてほしい。
(もちろん、いきなりよく分からん部署に配属され、誰からも相手にされないような場合は、「ええと、まず何したらいいでしょうか」とオープンで聞かざるを得ない。
クローズドで聞けるのは、ある程度状況認識が可能な段階という条件はつく。)