Somewhere in the world 〜不真面目社畜の徒然日記〜

ビジネスと旅行と、時々宗教

「ゲームから降りたら死ぬ」人生で、違うゲームをやり直す勇気を持とう

電通社員の過労自殺事件と、それついて書かれたトイアンナ氏の記事がバズってる。

toianna.hatenablog.com

 

事件について私は報道以上のことは知らず、とやかく論じるつもりはありません。ただただ、冥福を祈るばかりです。

しかし、ブログ記事については共感するところがあった。

電通に入るような社員はこれまでの勝負に勝ち続けてきたので、エリート街道から降りれないという。

 

ここまで成功してきた人は死にもの狂いで頑張ってきたからこそ「ゲームを降りる」ことができない。これまで10倍、100倍の難関を潜り抜けたのだ。今さら普通に過ごしてきた人たちのような暮らしを選ぶことは、努力をフイにするのと同じ。降りることは社会的な死を意味する。

 

これは、電通社員に限らず高学歴で「就職難関」と言われる大手企業に入社した人に共通するだろう。

前の記事にも書いたとおり、僕が新卒で入った会社は、高学歴エリートが集う難関企業だった。

都市部出身者の多くは、小学校からSAPIX日能研に通い、中高一貫の進学校に入り、東大や難関大に入った受験強者だ。

地方出身者でも、地元の付属中学→県下トップ校→東大・難関大という例が多い。

 

皆、人生のゲームに勝ち続けてきたのだ。そして、就職活動で大企業に入ることでこのゲームはクライマックスを迎える。辞めさえしなえれば、「あの人、○○に勤めてるらしいよ」「きゃーすごい!」という称賛を定年まで受け続けることができる。仕事をがんばれば定年後も「あの人、○○で□□まで出世したらしいよ」「きゃーすごい!」という賛美を受けることも可能だ。

 

ゆえに、ゲームから降りることは、それまでの努力と勝利を放棄することになり、彼らにとって許すまじ事態なのだ。そして、ゲームから降りた者は敗北者として嘲笑の対象になる。 

 

でも、苦労して大企業に入ったのに、みんながみんな幸せかというと違う。

僕の同僚も、経歴はスーパーエリートなのに、仕事を楽しめず、でも一流企業の社員であるステータスを捨てる勇気もなく辛い日々を過ごす人が何人かいた。

 

ゲームから降りたいのに降りれない時、どうすればいいんだろう?

難しく考えずに、違うゲームをやり直せばいいと思う。

要するに、別のキャリアでまたがんばるのだ。

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こないだ、水野敬也の「夢をかなえるゾウ2」を読んだ。

ベストセラー「夢をかなえるゾウ」の続編だ。

「2」では、ゾウの形をした神様ガネーシャが、売れないお笑い芸人の主人公に幸せになる哲学を教える物語だ。正直、内容は前作の方が良かったw

面白かったのは、結局主人公は芸人として芽は出ず、別の道で成功することになるのだが、その過程でガネーシャが人生やり直して成功した偉人の例を挙げているシーンだ。

 

「自分、黒澤明くん知ってるか?」

ガネーシャが口を開いた。

「彼はな、もともと画家目指してたんや。でも画家としては芽が出えへんかった。

ただな、映画監督になって、どういう映像作ろうかて思うたとき、画家目指して頑張ってきたことが全部生きたんや。せやから明くんの映画はな、絵のカットも色彩も他の監督と比べ物になれへんくらいすごいねんで」

そしてガネーシャは言った。

「黒澤くんだけやない。ジャイアント馬場くんはもともと野球選手やった。オードリー・ヘップバーンちゃんや、アンデルセンくんはバレエダンサーを目指してたんや。カーネル・サンダースくんも、クリスチャン・ディオールくんも、エイブラハム・リンカーンくんも、元々は違う職業やった。ひとつの夢に破れて、他の分野で夢かなえた例ちゅうのはめちゃむちゃ多いんやで」

                        -水野敬也「夢をかなえるゾウ2」

 

ここで挙げられている人たちはみな、何度も人生のゲームに失敗を重ね、そして後世に名を残している。

 そして、黒澤明の例が物語るように、たとえ最初の夢が破れたとしてもその経験が後々に何かの役に立つ。

 

「ゲームから降りたら死ぬ」と思っている人は、一度の失敗ですべてが終わると思っている。まわりの人から「今まで人生勝ってたのについには負け組かよww」と後ろ指をさされるのが怖いからなのかもしれない。彼ら彼女らは、中学受験、高校受験、大学受験、そして就職活動と常に(偏差値という物差しで測られた)他者との競争に勝ち続けてきたからだ。

ゲームから降りたくても降りれない時があるかもしれない。でも、また違うゲームをやり直せばいいのだ。

じゃあどうやってゲームをやり直せばいい?

ガネーシャ先生はこう教えてくれる。

そしてガネーシャは言った。

「せやから昔の偉い人らは、みんな口をそろえてこう言うんやで。

『やりたいことを、やりなさい』」

 

一度夢破れたとしても、挫折したとしても、また自分のやりたいことを見つけて、やればいい。

 

最後に、今年ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの名言を引用しておく。

 

「他人の言うことを気にしていたら、心が死んでしまう」

"If I'd pay attention to what others were syaing, the heart inside of me would have died."

 

「自分の心に従うんだ。そうすればきっとうまくいく。」

"Boy, go and follow your heart and you'll be fine at the end of the line."